コワモテ店主の無添加和菓子

AIを搭載したトラクターが、GPS に導かれて24時間、無人で休まずにほ場を走り回るという近未来のような情景が現実となっている今。だからこそ、これが畦道に立っていると、なんだかホッとします。それは、かかし。
「毎年、8月には町の一大イベント『共和かかし祭』が開催されます。昔から、私たちにとって数少ない、けれども大切な出店イベントでした。たい焼き、おやきなどを、ずいぶん長いこと販売させていだいています」
よく通るバリトンが印象的な本間大輔さん。終戦直後の1947年に創業した共和町の本間製菓、その3代目です。 〝かかしのふるさと〟をうたう町のお祭り『共和かかし祭』は、100体以上のかかしが並ぶ「かかしコンクール」、「かかしゲタ飛ばし大会」、ばん馬競技大会などユニークな催しとともに地域の特産品も販売されます。 らいでんスイカ・メロンとならび、この店の和菓子も定番です。
「将来的には跡を継ごうと、およそ18年前に実家の本間製菓に戻ってきた頃は、小売りとしてはこうしたイベントや農協のお祭りの際に商品を並べる程度で、私たちの和菓子は、共和町を中心に後志管内のスーパー、個人商店に向けた、製造・卸売がメインでした。
〝本間さんのお菓子、おいしいね〟と言われても、子ども心にはピンときませんでしたね」
目にするのは、父親がそうした和菓子を配達しに出かける姿だけ。工場のようすも、製造の現場も、本間少年は見たことがなかったのです。ただ、颯爽と出かけていく父親の姿に憧れ、跡を継ぎたいと申し出ていました。
「ところが反対されました。修行し、職人技を身につける必要のある大変な仕事だから、ということも、あったのかもしれませんが、とにかく、お前は自分の好きなように生きていけと。そんな感じでした。それで、実際に〝好きなように〟やりました 笑」
ガソリンスタンドの店員、メロンの販売、パチンコ店のホールスタッフ、牧場でのアルバイトに、土木作業――。興味の赴くまま、移っていき、〝いろいろ、やんちゃもやりましたね〟と、少し照れて振り返ります。
「そんななかで感じたのが、どんな分野にも、その仕事を極め、飛び抜けた能力を持つ人がいる。流れ者のような自分にはとても届かない。さまざまな経験を積み、最終的に見えてきたのが実家の菓子店だったんです」
とはいえ、和菓子作りの経験はゼロ。跡継ぎとはいえ、そんな本間さんを古くからの職人は相手にしない。何しろ仕事ができないのだから。夜中の12時に工場に出て、自分ができる準備をすべて済ませて、朝、職人を迎える。和菓子づくりが始まると、その技を見て、盗む日々。
「先輩の言葉に悔しい思いをし、自分がつくった和菓子には、お客さんから苦言を呈されることもありました。ただ、そんななかでも、自分でも不思議ですが、和菓子づくりが楽しいと感じたんです」
技術が高まり、自分なりの和菓子づくりを考えるようになったという6年ほど前から、販路を広げるため積極的に営業を開始し、初代が小樽の和菓子屋さんで学んだという「雷電だんご」を筆頭に、地域の素材を生かし、無添加でつくる和菓子のアピールを本格化。小樽で評判になり、やがて札幌のデパートの催事でも人気に。
「手焼き中華まんじゅうの実演販売などが、年配の方を中心に評判です。一方、実演ではないですが、先日は地元の情報番組の企画で、若者を意識しイチゴを使った雷電だんごを考案したところ、大きな反響がありました。
幅広い世代の声を取り入れながら、北海道になくてはならない和菓子づくりに取り組んでいきたいと思っているところです」
催事などですぐに覚えてもらえるのには、実はもう一つ理由があります。角刈り、剃り込みを入れた眉、大きな声と押しの強そうな語り口。一度見たら、忘れない、個性的なキャラクターも、店の〝看板〟なのです。
「この顔を覚え、共和町を覚えて欲しいと思っています。 同時に、地元のお客さんを第一に、心を込めた和菓子づくりを目指します」
町の人たちの要望もあり、2020年4月に初めてオープンした小売り店舗も 評判を呼び、共和町のシンボルになりつつあるようです。

本間製菓商品一覧

本間製菓

北海道岩内郡共和町老古美83番地71
電話・FAX 0135-67-7175
営業時間 9:00-18:00
定休日 不定休
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